深まりゆく秋の三瓶の地で、4回目となる今大会は、台風がもたらした強風と豪雨との壮絶な戦いとなった。スタート前から降り続く雨は刻一刻とその牙を研ぎ、闇に包まれた深夜には西の原は水の下に沈んだ。大自然の圧倒的な威力の前に、16時間という異例の短さでレースは静かに幕を閉じることとなった。
私たちは新たな記録の誕生を夢見ていた。参加者5名は毎年本大会に出場し、着々と記録を伸ばしていた。またそのうち2名の田中選手、中田選手は先月開催されたサテライト大会に日本代表として出場。田中選手は、サテライト大会で81周を走破し、日本チームの総合4位入賞に貢献。この地には精鋭の実力者たちが集っていた。
しかし時として自然は、人の想いなど軽々と飲み込むほどの力で私たちの前に立ちはだかる。大会中止を告げるとき三瓶の地に残っていた3名のサムライたちは、未だ心身に炎を宿しながらも、大会中断の判断を静かに受け入れた。
水没した西の原を進む選手たちの姿。それは、この地が私たちに突きつける果てしない自然との対話の一幕。時に厳しく、時に優しく、私たちは常に自然への畏敬の念を抱きながら前へと進む。これもまた、三瓶の地でしか体験し得ない、魂を揺さぶる瞬間となった。
記録という形での証は残せずとも、自然の猛威と向き合い、冷静な判断のもと全員が無事に帰還できたこと。それは、バックヤードウルトララストサムライスタンディング島根大会の新たな伝説として、永く語り継がれることだろう。
バックヤードウルトラ島根 ”HITOYAMA”西山
Laps | Name | Distance(km) |
16 | 黒木良一 | 107.296 |
16 | 田中実 | 107.296 |
16 | 中田和彦 | 107.296 |
15 | KAZUHIDEHASEGAWA | 100.59 |
13 | 猪山靖 | 87.178 |